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書籍紹介 任天堂 "驚き"を生む方程式

任天堂 "驚き"を生む方程式 2009年5月

日本経済新聞出版社

井上理 

 

最近読んだ本について、あれこれ書きたいと思います。

DQ10と関係ないので、ブログに載せようか迷ったんですが、

素晴らしい本なので、少しでも内容を覚えている内に

アウトプットした方がいいのかな、と。

 

DS,wiiと立て続けに大成功を収め、

飛ぶ鳥も落とす勢いだった時期に出版された本のようです。

(wiiuが発売する前です。)

 

僕は(ここには書けない理由も含め)色々な意味で、

ゲームメーカーでは任天堂が一番好きです。

最近、あるインタビューを見て宮本茂すげーってところから、

その才能を見出した山内博はもっとすげーってことで、

山内博氏について書かれている文献を探していたら、この本にたどり着きました。

 

まず、大雑把な結論から述べると、

任天堂を憎からず思っている方、任天堂のゲーム機やソフト(特にDSやwii)で

よく遊んでいた方は、是非、読んでほしいです。アマゾンの中古なら安いです。

任天堂の作品に、それとなく抱いていた"安心感"が何なのか、

任天堂のものづくりマインド的なものがよく分かります。

首脳陣(主に岩田前社長や宮本茂氏)への詳しいインタビューに加え、

数字やデータ等も多く取り入れられており、とても興味深い内容になっています。

 

前半部分は主に、

DS,wiiの成功の背景と、任天堂のものづくりマインドについて。

64、キューブと商業的にはあまり振るわず、

ソニーのPS優勢の状況から、いかに逆転をしたか。

上記の失敗の背景についても書かれています。

脳トレwiiスポーツ・fitを筆頭に、

ハードのスペックに固執せず、ゲームらしくないゲームで

非ゲーマーを引き込むアイデア勝負に挑んだ。

実際、僕もゲームとは無縁の場所で、wiiを見かけたことが何度かあります。

ゲームの悪印象を払拭するためのアイデア

「お母さん至上主義」という言葉がすごく面白いです。

リモコンや本体についても研究を重ね、試行錯誤を繰り返した。

ネットを使った新しい遊び方や、他業種とのコラボレーションも面白い。

 

岩田前社長の経営方針、

外部から引き抜かれた岩田氏がどの様に変えていったか。

ワンマンから集団体制に変えていったか。

一般社員まで巻き込んだ個人面談など、常人離れしています。

宮本茂氏の哲学。

ちゃぶ台返し。アイデアを無駄にしない。

ゲーム離れをいち早く察知し、それを開発に取り入れていった点も

天才たる所以だと思います。

 

後半は、主に旧時代の任天堂について。

横井軍平氏の偶然の入社、偶然の発明からヒット玩具を連発するも

多角経営の失敗。

ゲーム&ウォッチの成功、そこから進化したファミコン

やがては、巨大企業にまで至る過程。

電卓遊びから着想を得たゲーム&ウォッチ

そして、低価格設定や様々な仕組みで、子供の心を掴んだファミコン

 

名言「枯れた技術の水平思考」についても、かなり詳しく書いております。

難産のゲームボーイ、上記の名言を実践し空前の大ヒット。

逆に先をいきすぎて失敗したバーチャルボーイ

数々の苦難を超えて、上記の名言がDSやwiiでも生かされています。

 

山内博氏についても書かれています。

直感型の天才 山内博氏

社長の直感の一言で数々の成功を収めてきた。

ワンマン経営者で歯に衣着せぬ発言のイメージだが、

(youtubeにある動画でも実際そうだった)

成功の裏側にある数々の強運を認め、極めて謙虚で驕らぬ姿勢の持ち主です。

至言「失意泰然・得意冷然」

常人を超えた努力の秀才 岩田氏(という僕の勝手に認識です)

との対比が面白いです。

もちろん、すべてが上手くいくわけではなく、

多角経営での失敗や、

PSへの対抗手段として、

ソフト開発の参入障壁を上げることによる"少数精鋭の64"

それが裏目に出た。

 

最後にエピローグとして、

今後の懸念、次世代機もユーザーをワクワクさせるものが作れるか、

携帯アプリの台頭などが書かれていた。

wiiuの商業的な失敗を以て、悪い意味での予言が当たってしまった。

しかし、今後も数々のワクワクアイデア製品が生まれていくと信じたい。

実際、スイッチで商業的な大成功を収めている。

次の世代は果たして・・・。

 

 

あとがき:

短く簡潔に書くつもりが、長々と書いてしまいました・・・。

とても面白い部分である、宮本茂氏に関するエピソードや、

wiiやDSの誕生秘話などもかなり端折ってしまいましたが、

まあネット記事やwikipediaとかに載っているかもしれません。

もし書いていなかったら、別の機会に書くかもしれません。

読書に義務感を抱きたくないので、こういった記事は今回限りか、

不定期になるかと思います。